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KiKのズンダレ巴里日記
パリからあなたにお届けする、とっておきのくだらない話
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アデル、ブルーは熱い色
今年のカンヌ映画祭で最高賞を受賞した「アデル、ブルーは熱い色」を見てきました。

女同士の生々しいセックスシーンもさることながら、主演女優がインタビューで撮影条件の劣悪さや監督の度を超えたしごきっぷりを暴露し、公開前から何かと話題を提供していた一作。それが功を奏して(?)、この種の映画にしては珍しく、現在フランスで大ヒット中であります。

本題に入る前に、この作品を生んだアブデラティフ・ケシシュ監督のこれまでの作品について一言。KiKはこの監督の映画が結構好きで、最近では数少なくなった、「この人の映画なら見に行こう」と思わせる監督の一人です。2作目の『身をかわして』では、みずみずしい少年少女たちのむき出しの感情を、時にユーモラスに、時に虚しさを交えて浮き彫りにし、続く『クスクス粒の秘密』では、念願のレストラン開店に向け奔走する初老の男を軸に、複雑に絡み合う人間模様から生まれる悲劇をじっくりと描いて、ともにセザール賞作品賞受賞も納得の秀作です。

KiKがこの人の映画で好きなところは、登場人物の息遣いや体温が伝わってきそうなほどのリアリズム。一歩間違えば単なる下品な覗き趣味になるスレスレのところをうまくフィルムに収めることができるのは、この人ならではの演出の腕だと思います。彼の前作 Vénus noire は、そんな覗き趣味が炸裂しつつも芸術品にまで昇華したと言う点で、KiKの大好きな映画なのですが、なにしろ19世紀初頭にアフリカからヨーロッパに連れてこられた黒人女性(サラ・バートマンという、実在した人物)が、見世物小屋で散々好奇の目にさらされ、珍しい物好きの上流社会で嬲りものにされ、最終的には極貧とアルコールに溺れて売春生活を余儀なくされるというストーリーなので、ヨーロッパの人にしてみればやっぱり過去の恥部を目の前に突きつけられているようで面白くなかったのでしょうか、評論家はほぼ無視、興行的にも失敗に終わりました。

前置きが長くなりましたが、早速『アデル』の話に移りましょう。正直なところ、見る前は少々不安でした。ビアンのカップルの惚れたの腫れたのという話でどうやったら3時間も持つのか?と。見終わって、本当にあっという間でした。欠伸一つも出ませんでした。アデルという女子高生が恋をして、好きな人と幸せな時間を過ごして、やがて関係に溝ができ、悩み、葛藤し、別れに至るという至極単純な話なのですが、一つ一つの場面の描写の丁寧さに驚きます。恋愛映画数あれど、ここまで「人を好きになること」というテーマとがっぷり四つに組んだ映画は珍しいのでは。アデルの場合は、恋した相手が女性だったために様々な困難を伴い、それがドラマチックな効果をアップさせている要因の一つでしょう。

ただ、だからといってこの映画を「レズビアン映画」とか、「同性愛映画」というふうに括ってしまうのはちょっと違うんじゃないか、と思います。アデルとその恋人エマとの間に起こることは、ヘテロのカップルにだって十分ありうることなのだから。 同性愛・異性愛という次元を超越した普遍的な恋愛の形、とでも言いましょうか。同性愛者のはしくれのKiKにはそう思えました。もちろん、同性愛者にはよく分かる、いわゆる「あるある」シーンも所々挿入されていて、個人的に楽しめた部分もありますが。

この映画を語る上で避けて通れないのが、例のセックスシーンでしょう。KiKは『クスクス粒の秘密』の終盤に出てくるベリーダンスのシーンを思い出しました。どちらもとにかくしつこい(笑)。見ているこっちが疲労困憊してしまうくらいですが、そんな気分になるのはやはり演出の凄さでしょう。とにかく見て、感じてくださいとしか言いようがありません。言葉では言い表せない、映像言語がここにあります。

ダラダラと思うまま書き続けてきたのでそろそろ切り上げようかと思いますが、最後に一つだけ。この映画ではすべてのシーンで主人公アデルが登場します。エリック・ロメール監督の映画でも、主役がすべてのシーンに登場する作品がいくつかありますね。観客を主人公に惹き付ける効果は大きいです。それに、アデルが国語の授業で使っているテキストはマリヴォー。ロメールの映画はしばしば「マリヴォー的」と評されることがあり、ロメール本人も好きな作家の一人にあげています。そんなわけで、『アデル』にはなんとなく、ロメール映画との接点があるような気がするのですが、気のせいかなぁ...
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